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八回表、豊川・上江洲由誠選手が左翼席へ逆転の2点適時打を放つ。自身は前の走者を追い越したためアウトに=2025年5月26日、ダイム伊勢、松本敏博撮影
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 (26日、第72回春季東海地区高校野球大会準決勝 津田学園6―3豊川)

 1点を追う八回、1死一、二塁。豊川の3番・上江洲(うえず)由誠選手(2年)は速球を狙っていた。2球目の高めに浮いた球を思いきり引っ張った。「行ったかな」。高々と上がった大飛球は、左翼席で弾んだ。

 3点本塁打かと思われたが、タッチアップしようと帰塁した一塁走者を追い越してしまい、記録は単打に。走者2人の生還のみ認められ2点追加、1点リードでの逆転となった。

 本職は捕手だがパンチ力のある打撃を買われ、今春は多くの試合に3番・中堅手で出場する。県大会でも準決勝の至学館戦で決勝打を放つなど、上々の調子で東海大会に乗り込んだ。

 この日、チームは相手の好守にも阻まれ、津田学園の先発・桑山晄太朗(こうたろう)投手(3年)を攻めあぐねていた。その重苦しい空気を振り払うように、両翼97.5メートルのダイム伊勢にかけた豪快なアーチ。「中軸は頼られる打順。チャンスで打てる3番をめざしている」という言葉通りの一発だった。

 しかし、歓喜はつかの間。裏の守りで再逆転を許した。「あの時、もう1点取りきれていれば……」。中堅から、歯がゆい気持ちで見守ることしかできなかった。チームの走塁ミスに長谷川裕記監督も「かける言葉もない、恥ずかしいプレー。(リードが)2点と1点ではこちらの守り方も変わる。影響はあった」と振り返った。

 「1点の違いで試合が決まってしまう。その重みを感じた」と上江洲選手。夏の愛知大会に向け、収穫と大きな反省を持ち帰る。

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